BEST of 東京パティスリー
私が、心から美味しいと思えるお菓子屋をご紹介します。
初めてこちらのお菓子をいただいてから30年以上経ちますが、今でもBESTパティスリーです。
最高クラスの洋菓子店「IL PLUET SUR LA SEINE」(イルプルー・シュル・ラ・セーヌ)は、代官山にあります。
イルプルーのお菓子を食べるきっかけになったのは、松任谷由美さんが、雑誌で、ここのリーフパイとクロワッサンを紹介されていたことからなんです。
お店がまだ代々木上原にあった頃で、私は、早速伺い、リーフパイとクロワッサンを食べて、ものすごく感動したのを憶えています。
それから、私は、色々と食べてみたくて、ちょくちょく通うようになりました。
その後、代官山・旧山手通り沿いにある代官山フォーラムの2階に移転され、今に至っています。
シェフは弓田亨氏。フランス菓子の業界を牽引してきた重鎮です。
イルプルーの活動理念は、「真実の美味しさ」を伝えること。
「真実の美味しさとは、本質的で普遍的であること」と、弓田シェフは言います。
どういう意味でしょうか。
イルプルーは、国内から海外から、最も上質な材料を仕入れています。
職人によって、香り、風味、口当たりが圧倒的に豊かな食材を選りすぐられ、一つ一つ丁寧に、質の高い技術で、イルプルーのお菓子へと仕上げられます。
「ベストな素材を選び、シンプルに素材の良さを一番活かせるよう丁寧に合わせること。」
「何度食べても飽きが来ず、食べ続けられるもの。そして、食べるたびに感動するもの。」
イルプルーのお菓子をいただくと、この理念そのものだなと思います。
生ケーキ、焼き菓子、チョコレート、アイスクリーム、と季節によるメニューは豊かで、どれも本当に美味しい逸品揃いです。
その中でも、私が、他を寄せ付けない凄さを感じるのが、焼き菓子の美味しさです。
特にお薦めしたい焼き菓子をご紹介します。
イル プルー シュル ラ セーヌ の理念を表した逸品
・タルト サンチャゴ
約10年前、弓田シェフは良い材料を求めてスペインを訪問しました。
そして、サンチャゴ デ コンポステーラという街に滞在します。
街角のお土産店にて、何物かよく知らずに買った焼き菓子が、タルト サンチャゴでした。
帰国してから、大して期待せずに口にした時、弓田シェフは言いました。
「豊穣の極みの味わいに五感が震えた。それまでに経験のない領域の、とびきりの美味しさだった。」
弓田シェフは、いつか自分のタルト・サンチャゴを作ろうと決意します。
時間をかけて材料を探し、試作を重ね、ついに完成し発売されました。
スペイン産の最上質なアーモンドのパウダーと松の実パウダーを、バター、砂糖、卵と合わせます。
それを上質な小麦粉とバターで作ったタルト生地にのせ焼きます。
焼き上がったら、粉砂糖を一面にふりかけて出来上がりです。
スペインでは、“十字架”のシルエットを抜いた柄にするそうです。
聖ヤコブの遺骸がまつられている巡礼路の最終地点がサンチャゴ・デ・コンポステーラ。その修道院で、初めて作られたことが由来です。
イルプルーは、” I “抜きです。
私は、初めて食べた時の衝撃を忘れません。
ひと口頬張ると、しっとり、ホロっとした口当たり。アーモンドの香りがふわっと漂ってきて、思わず、「おぉ!」声が出ました。
粉砂糖のやさしい甘さと、生地の素朴でしっとりした食感が調和し、上品な後味。
なんて美味しいんでしょう!
出会って以来、私は、このタルト・サンチャゴを何度もいただいています。
そして、大切な友へのお土産に持って行ったりしています。
これを食べた、あるイタリア料理店のシェフは、このタルトは本当に美味い!と絶賛しておりました。
友人たちも、今やファンになり、リピート購入しているようです。
見た目は、地味すぎるくらい地味です。
しかし、こんなに心をギュッと掴んでくるなんて、本当に感動しました。
ぜひ、味わっていただきたいお菓子です。
桁違いに美味しい焼き菓子
現在、焼き菓子で有名なお店や、シェフはたくさんいらっしゃいます。
それぞれのお店が、素材にこだわり、手間をかけ、極上を目指して、その店の個性ある焼き菓子を作っていらっしゃいます。
私は、焼き菓子好きだから、パティスリーに行くと必ずいくつか焼き菓子を買います。
しかし、イルプルーの焼き菓子は飛び抜けていると言わざるを得ない。
中でも、私が別格に凄いなと思ったのが、下記3つの焼き菓子です。
・サブレ・ドゥ・ココ
このクッキーは、本当に凄いです。
ココナッツが入ったクッキーが好きな人は、このサブレ・ドゥ・ココをぜひ食べて欲しいです。
私は、これほどまで美味しいココナッツクッキーを食べたことがありません。
絶妙に控えめな甘さで、「ザクっザクっ」とココナッツの繊維を100%味わえます。
食べると、また必ず食べたくなります。
・あくの強いチョコレートと塩味のクッキー
私は、このクッキーの一口目を食べて、衝撃を受けました。
名前からしても納得しますが、まさしくカカオを味わうクッキーです。
ココアとアーモンドパウダーで良い塩梅の苦味に仕上げています。
粉のキメが細かくて、上品な口当たりが印象的です。
塩味と少しの香辛料が絶妙な加減で効いています。
大人のためのクッキーという感じで、絶品です!
・極上のリーフパイ
私が、イルプルーのお菓子を食べるきっかけになったリーフパイ。
形も見た目も、25年前と変わっていません。
パイはこんがり焼けた、落ち葉色で美味しそう!
芳醇なバターとグラニュー糖を焦がした香りで、なんとも甘く香ばしい。
バリバリっと破片をこぼしながら頬張り、リーフパイの醍醐味を味わいます。
豊かな味とはこのこと。本当に美味しい!
スタッフの方も、自慢の焼き菓子なので、説明も熱が入ってお話してくれます。
ぜひ、ご賞味いただきたい3種です。
焼き菓子はお取り寄せできます。
イルプルーは、支店は出していません。本質的な味と品質の徹底管理が難しいからです。
コロナ禍以降は、生ケーキは、サイトやインスタグラムでメニューを事前に確認して、予約が必要です。
予約をすれば、確実に購入できるので、かえって便利です。
多くの焼き菓子はお取り寄せが可能です。
自分へのご褒美や、大切な方へのギフトにも、凄くお薦めしたいです。
いつも、新鮮で、素材に特化した、美味しい感動に出会わせてくれるお菓子屋です。
これからも、どんな美味しいお菓子が生まれるのか、とても楽しみにしています。
現在は、土曜日のみの営業のようです。たまに日曜日も開けることもあるようですので、営業日は事前にお確かめください。
土曜日、代官山にいらした際は、ぜひ、のぞいてみてください。
今回も、お読みいただきまして、ありがとうございました!
2023年11月6日
フランス菓子パティスリー「 IL PLEUT SUR LA SEINE 」イル プルー シュル ラ セーヌ のオーナーシェフ 弓田亨シェフがご逝去されました。
この一報をイルプルーのインスタグラムでの発表を見た[…]
イル プルー シュル ラ セーヌ の店舗情報
IL PLEUT SUR LA SEINE (イル プルー シュル ラ セーヌ) : Tel: 03-3476-5211
東京都渋谷区猿楽町17-16 代官山フォーラム 2F
営業日:土曜日 営業時間 : 11:30 – 17:30
Instagram : https://www.instagram.com/la_patisserie.il_pleut/?hl=ja