フランス菓子の神様 逝去 「これからもイルプルーのお菓子は永遠」

2023年11月6日

フランス菓子パティスリー「 IL PLEUT SUR LA SEINE 」イル プルー シュル ラ セーヌ のオーナーシェフ 弓田亨シェフがご逝去されました。

この一報をイルプルーのインスタグラムでの発表を見た瞬間、ショックと、’嘘でしょ?!’ という信じたくない気持ちで呆然となり、溢れるものを堪え切れなくなりました。

私にとって、イルプルーがとても大事な存在で、それを作った弓田シェフを心から尊敬していたからです。

最高の素材だけで作る本質的な美味しさ、を求め続けた信念。全てのお菓子からそれを感じることができます。

 

イルプルーと弓田シェフに初めてお会いしたのは、30年以上前になります。

松任谷由実さんが、お気に入りのリーフパイとクロワッサンとして雑誌でご紹介されていて、気になって、当時、代々木上原にあったお店に伺いました。そのリーフパイとクロワッサンの衝撃は、今でも憶えています。

それまでに経験したことのない、甘みのある芳醇なバターの香り。こんなレベルのバターを味わったことがなかったので、本当に驚きと感動で幸せな気持ちになりました。

「なんて美味しいんだろう!!」

ユーミンお薦めのリーフパイ

それから、全部のメニューが食べたくて、虜になったように、代々木上原のお店に通うようになりました。

生ケーキもダックワーズも焼き菓子も全部美味しかった。レベルが違いました。

中でも、アレを店内でいただいてからは、必ず店内でその日のお菓子を食べていくようになりました。

弓田シェフと焼いたバナナのミルフィーユ

イルプルーは、店内に3つテーブルがあり、そちらで、「店内でしか食べれないデザート」、いわゆる出来立てのお菓子で、持ち帰れないものを出していらっしゃいました。

2回目に訪れた時、その日のスペシャリテが、焼いたバナナのミルフィーユ た。

弓田シェフが店内に出てこられて、「とても美味しいですよ。ここでしかお出しできないものです。」とおすすめ頂きました。

そのバナナのミルフィーユの美味しさときたら、’信じられない’と感じたほどの感動でした。

4枚のパイで3段のクリームの層になっていて、そのパイも縦に3つに切れていて、美しく食べやすくなっていました。

焼いたバナナとバナナの果肉を混ぜ合わせたカスタードクリームが、自然なバナナの甘さと焼いた香ばしさ、さらに香ばしいパイとのコンビが、言葉で説明し難いほどマッチしていました。

ホロっとサクッとしたパイの食感と、柔らかい甘さのバナナクリームの、全体が包まれるような軽さ。

もう感動以外なかった。凄い!と心躍りましたね。

それ以降、この焼いたバナナのミルフィーユはもう1度しか食べることができなかった、本当に貴重な体験になりました。

当時の写真を撮っていなかったのが本当に悔やまれます。

代官山に移転

1995年、代々木上原より、現在の代官山フォーラム2Fにお店が移転。

左側にブティック、右側にお菓子教室で、フォーラムの2階は、まさしく、イル プルー シュル ラ セーヌの世界になります。

店内は、右奥にイートインがあり、’店内限定デザート’が食べられました。

・柚子のムース

・ブランマンジェ

・チョコレートのムース

他にも、本日の店内デザートとして、席は争奪戦でした。

いつ何時でも、弓田シェフがキッチンか、お菓子教室のキッチンにいらっしゃるのが見えて、安心感がありましたね。

イルプルーのお菓子たち

素材の美味さ100%活かした感動の生ケーキたち

こんなに多くの美味しい感動を与えていただいた弓田シェフへ感謝の気持ちをこめて、最高のお菓子たちをご紹介します。

新年のご挨拶 「ガレット・デ・ロワ」

キリスト教の祝日であるエピファニーを祝って食べるお菓子で、1月の風物詩。イルプルーのガレット・デ・ロワ、最上質なアーモンドパウダーを使用していて風味が豊かで最高です!

ガレット・デ・ロワ

切り分けて、中に「フェーブ(豆人形)」が入っていた人は、その年の1年を幸運に過ごせるお楽しみがあるお菓子でした。

定番 シュー・ア・ラ・クレーム と シュー・オ・ショコラ

しっとり歯応えが良いシューの美味しさとカスタードクリームのバニラの贅沢な香りは記憶に焼き付けられます。

シュー・ア・ラ・クレーム

シーズナルで登場した、ショコラのシュークリーム

滑らかで程良い濃さの生クリームとチョコレートクリームをパリッとしたシューで、食感のテクスチャーが抜群

シュー・オ・ショコラ

クリームたっぷりエクレア

これでもかのクリームが詰まっている食べ応えが神!エクレア

シンプルで美しいエクレア
クリームたっぷり

毎年9月末からソワソワして発売を待つ クレオル

オリジナル さつまいものお菓子、クレオル。 毎年、これを楽しみに待っている人が多いんです。

要予約!

稀少なクレオル

弓田シェフ渾身の タルト・サンチャゴ

弓田シェフが、スペインでこのお菓子に出会い、ご自分の渾身の思いで完成された怪作のタルト。

スペイン産のアーモンドパウダーは香りと風味が素晴らしく、しっとりとした絶妙な口当たりと粉砂糖と食べる組み合わせが最高で、一口食べた瞬間、じわじわ来る美味さで幸せいっぱいになります。

とびきりの美味しさ、タルト・サンチャゴ

イルプルーの軽いムースの印骨頂!レモンとマンゴー

ビスキィとマカロン生地にレモンとマンゴーのふわふわムースを2層に、マンゴーソースをたっぷり。

レモンとマンゴー

白ワインのムースが絶品!シシリアの味 ル・スィスィリアン

ブロンテ産ピスタチオのダックワーズ生地に白ワインのムース+フレーズデボア(野いちご)を散りばめた、甘さと甘酸っぱさのハーモニーが絶品。

ル・スィスィリアン

これぞ神バランス、ドゥスールショコラ・キャラメル

センターのトロリ柔らかなキャラメルの食感が素晴らしい。ショコラムースも香り芳醇で軽い口当たり

ドゥスールショコラ・キャラメル

フランス菓子・料理界の伝統を継承する最後の巨人・ドゥニ・リュッフェル氏オリジナル モンブラン

ラム酒をきかせバターをたっぷり使い、ヴァニラたっぷりのシャンティクリームで伝統手法で作ったモンブランは、ドゥニ氏のオリジナルレシピ。

モンブラン
バニラとラムの風味が効いてる

フランス郷土菓子 ブルターニュのファーブルトン

もっちりとしたドライプルーンとレーズンに、さらにもっちりとした生地と焼いた昔ながらのタルト

文化を味わえるっていいいですよね。

ブルターニュ伝統のファー・ブルトン

その場でクリームを注いでくれる、賞味30分!作りたてコルネ

焼きたてのサックサクパイに、その場で生クリームを注入。賞味30分の出来立てコルネは至福の味でした。

クリームふわふわコルネ

2021年のクリスマスケーキ

クラシックな苺のショートケーキ。お酒がきいた大人のショートケーキです。

2021Noel

技が違う!何度食べても最高の焼き菓子たち

イルプルーの凄さは、焼き菓子を食べるといいです。

その奥の奥まで繊細な技術ならでは、ため息しか出ない本物の美味しさです。

中でも、多分、世界一じゃないだろうかと、食べるたびに悶絶するサブレ・ド・ココは、天才です。

ココナツの美味しさを200%味わえるサブレ

食感が素晴らしいサブレ・ド・ココ
サブレ・ドゥ・ココ

新食感の アクの強いチョコレートと塩味のクッキー

細かいパウダーのような食感で口溶け具合がたまりません。大人のクッキーです。

あくの強いチョコレートと塩味のクッキー

手土産日本一にも選ばれた、イルプルーの入手困難な 塩味クッキー

一度食べると、その魔力に取り憑かれる大人の至極のクッキー。

ゲランドの塩、エダムチーズ、スペイン産アーモンド、松の実をたっぷり使った五感を刺激してめちゃくちゃ美味しい。

お酒のおつまみにも最高です。(写真は公式インスタから引用)

予約販売 塩味クッキー

昨年秋のイートインイベント「 Cafe il pleut 」

2022年10月15ー16日開催された、テラスでのカフェ・イベント。席予約は争奪戦でした。

あの日は日差しが暑かった!

クレープを出されるとのことで、本当に楽しく美味しいイベントでした。

最高のクレープたち

クレープシュゼット イルプルーのクレープシュゼットが食べれるなんて、夢のようなイベント!抜群&幸せでした。

最高のクレープシュゼット

チョコレートソースが絶品のクレープ・ブルトンヌ

美味しすぎたクレープブルトンヌ

悶絶のアイスクリームたち

グラッセは、口溶け具合が違いすぎる。美味しすぎてみんな笑顔になりました。

グラッセ・マロン
グラッセ・ヴァニーユ

感謝

弓田シェフの訃報は、本当に悲しいし諦め切れない思いが湧いてきます。

弓田さんのお菓子は、他の何にも代えられない、美味しさの本質がありました。

本当のフランス菓子の美味しさを初めて教えていただきました。

弓田さんのお菓子がきっかけで、美味しいものを食べ歩いて楽しむ’食活’が趣味になり、仕事にまでなりました。

色んなスィーツたちと出会いましたが、私にとって、愛してやまないお菓子のNo.1は、イル プルー シュル ラ セーヌ です。

弓田シェフ、幸せな時間をたくさん頂き、本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りいたします。

 

これからも、弓田シェフの技術とエッセンスを全て引き継がれている椎名シェフと川瀬シェフ率いるイルプルーのお菓子を楽しんでいきたいと思っています。

そして、彼が今まで残した、数々のお菓子の教本たち。世界中のパテシエたちの永遠のバイブルとして、これからも変わらないでしょう。

未来の IL PLEUT SUR LA SEINE をこれからも追っかけます。

 

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

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イル プルー シュル ラ セーヌ の店舗情報

IL PLEUT SUR LA SEINE (イル プルー シュル ラ セーヌ)  : Tel: 03-3476-5211

東京都渋谷区猿楽町17-16  代官山フォーラム 2F

営業日:土曜日 営業時間 :  11:30 – 17:30 


Instagram : https://www.instagram.com/la_patisserie.il_pleut/

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